「在宅介護」というと、つい
「家族が頑張って世話をする」イメージになりがち。
でも実際は、家には**たくさんのプロが来てくれる**。
ヘルパーさん、看護師さん、リハビリの先生、お医者さん、歯医者さん——。
母が在宅介護だった頃も、いろんなプロが入れ替わり立ち替わり来てくれた。
そのおかげで、私は仕事と介護を両立できた。
ここでは、在宅介護で受けられる「訪問サービス」を整理してみる。
大きく分けて3タイプ
訪問サービスは、誰がどんな目的で来てくれるかで3つに分けられる。
🏠 介護・生活支援系
ヘルパーさんが家事や身体介護を担当。生活そのものを支える。
🩺 医療・看護系
看護師・リハビリ職が訪問。医療と介護の橋渡し。
👨⚕️ 診療系
医師・歯科医師が自宅まで診察に。通院が困難な人の頼り。
介護・生活支援系:ヘルパーさんが来てくれる
訪問介護
ホームヘルパーヘルパーが自宅に来て、身体介護(入浴・排泄・食事介助など)や生活援助(掃除・調理・買い物など)を行う。在宅介護の「核」になるサービス。
- 家族が手の届かない部分をプロに任せられる
- 定期的に来てくれるので、生活のリズムが整う
- ヘルパーさんが本人の変化に気づいてくれることも
- ヘルパーさんの質や相性に差がある
- 人手不足で、希望の時間帯に入ってもらえないことも
- 「生活援助」は本人のためのもの限定(家族の食事や掃除は対象外)
💡 要支援1・2の方は、市町村の「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」として、似たサービスが受けられる。
訪問入浴
看護師1人+介護職員2人の3人体制で、専用の浴槽を自宅まで運んで入浴させてくれるサービス。寝たきりの方でも安全に湯船につかれる。
- 寝たきりでも安全に全身浴ができる
- 看護師同行なので、健康状態のチェックも
- 家族が入浴介助の重労働から解放される
- 費用がやや高め(訪問介護より高い)
- 浴槽を運び込むスペースが必要
医療・看護系:医療の手が家まで届く
訪問看護
看護師が自宅を訪問し、医療処置(点滴・吸引・カテーテル管理など)・健康管理・服薬管理を行う。医療と介護の橋渡し役。
- 主治医の指示のもと、医療処置が自宅で受けられる
- 体調の変化を早めに察知してもらえる
- 緊急時の電話相談に応じてくれる事業所も多い
- 看取りまで対応可能
- 事業所によって専門性や対応範囲に差がある
- 主治医の「訪問看護指示書」が必要
💡 がん末期・難病・人工呼吸器使用などの場合は、医療保険での訪問看護になることもある(介護保険より頻度高く利用可)。
訪問リハビリテーション
訪問リハ理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が自宅を訪問し、リハビリを行う。自宅環境に合わせた実践的なリハビリが受けられる。
- 自宅の段差・トイレ・玄関に合わせた実用的なリハビリ
- 移動の負担がなく、デイケアに行けない人でも受けられる
- 家族へのアドバイスも受けられる
- 1回20分単位で、デイケアより実施時間は短い
- 主治医の指示が必要
診療系:お医者さんが家に来てくれる
訪問診療
在宅医療医師が定期的に自宅を訪問して、診察・処方・指導を行う。急変時の往診にも対応してくれる医院が多い。
- 通院の負担(本人にも、付き添う家族にも)がなくなる
- 住み慣れた家で看取りまで対応可能
- 急変時に往診や電話対応してくれる
- 対応してくれる医院が地域によって少ない
- 介護保険ではなく医療保険のため、自己負担は別管理
💡 訪問診療を引き受けてくれる医院は、地域包括支援センターやケアマネに相談すると紹介してもらえる。
訪問歯科診療
歯科医師・歯科衛生士が自宅を訪問。入れ歯の調整、口腔ケア、抜歯、虫歯治療などを行う。誤嚥性肺炎の予防にも役立つ。
- 通院困難でも歯科ケアを続けられる
- 口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に直結する
- 入れ歯の調整で食事がしやすくなる
- 対応している歯科医院が地域によって少ない
- 大がかりな治療は通院が必要なことも
知っておきたい補足ポイント
- 介護保険と医療保険、両方が登場する。訪問介護・入浴・看護・リハは原則 介護保険、訪問診療・歯科診療は 医療保険。
- 利用にはケアプランへの組み込みが必要(介護保険サービスの場合)。ケアマネに相談してプランに入れてもらう。
- 医療系の訪問は「主治医の指示書」が必要な場合が多い。
- 事業所選びには、ケアマネからの紹介が一番確実。実際に複数を比較してから決めるのが理想。
- 緊急時の連絡体制を確認しておく。夜間や休日に対応してくれるかどうかは、事業所によって違う。
介護保険外でも、こんなサービスが
介護保険の対象外だけど、知っておくと助かる訪問サービスもある。
- 訪問美容:寝たきりや車椅子の方の自宅まで美容師さんが来てくれる。母も「ばあちゃん専属の美容師さん」にカットしてもらっていた。
- 配食サービス:栄養バランスを考えた食事を自宅まで届けてくれる。安否確認も兼ねるサービスも。
- 家事代行:訪問介護の「生活援助」では対応できない、家族のための家事もお願いできる。
こうしたサービスは、自治体の高齢者向け支援事業や、民間サービスとして提供されている。
地域包括支援センターに聞いてみると、思わぬ「お助け」が見つかることがある。
我が家の体験から
母の在宅介護期、本当にいろんなプロが家に出入りしてくれた。
毎日来てくれるヘルパーさん。
週1回の訪問看護師さん。
月2回の訪問診療の先生(と、いつも丁寧に付き添ってくれる看護師さん)。
そして、入れ歯の調整に来てくれる訪問歯科の先生。
みんなが、それぞれの専門で、母を見てくれた。
そして気づいたのは——プロは、本人を見てくれるだけじゃなく、家族のことも、ちゃんと見てくれているということ。
「お母さん、最近少し顔色がいいですね」
「ご家族、ちょっと疲れてませんか?」
そんな声を、何度かけてもらったことか。
——在宅介護は、家族だけの戦いではない。
家にやってきてくれる、たくさんのプロたちと一緒に進むものだ。
このページが、これから在宅介護を始める誰かの「迷宮の地図のかけら」になりますように。