「在宅介護」って言葉には、なんとなく
「家族が家でぜんぶ抱える」みたいな響きがある。
でも実際は、家族だけで支え続けるのは、ほぼ無理だ。
母が寝たきりになる前、平日の昼間はデイサービスに、月に何回かはショートステイに、
お世話になりっぱなしだった。
家にいながら使える「通って、ときには泊まれる」施設サービスは、
在宅介護を続けるために欠かせない味方。
ここでは、その代表的な5種類を整理してみる。
大きく分けて3タイプ
在宅介護で使える施設サービスは、利用のしかたで3つに分けられる。
☀️ 通所系
日中、施設に通って入浴・食事・レクリエーション・リハビリを受ける。日帰り。
🌙 短期入所系
数日〜2週間ほど、施設に宿泊。家族の休息や急用、本人の気分転換にも。
🔄 複合系
通い・泊まり・訪問を、ひとつの事業所で柔軟に組み合わせて使えるタイプ。
通所系:日中、施設に通う
デイサービス
通所介護日中、施設に通って、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などを受ける。送迎付きが基本。在宅介護の「日中の救世主」。
- 日中の介護負担がぐっと軽くなる(家族が仕事や休息の時間を持てる)
- 入浴サービスがある(自宅では難しい入浴を、安全に)
- 本人にとっても、家以外の人と関わる「社会参加」の時間
- 施設の雰囲気・スタッフの質には差がある(複数見学が大事)
- 本人が「行きたくない」と拒否することもある(特に最初の頃)
デイケア
通所リハビリテーション理学療法士・作業療法士などのリハビリ専門職による医療的リハビリが中心。退院後の回復期や、機能維持のために通う。
- 医療系のリハビリが本格的に受けられる
- 医師の指示のもとで実施されるので、医学的に安心
- デイサービスより費用が高め
- 施設数がデイサービスより少ない
短期入所系:数日〜数週間、泊まる
ショートステイ
短期入所特養や老健などの施設に、数日〜2週間ほど泊まるサービス。家族が出張・旅行・体調不良のときの強い味方。介護家族の「休息(レスパイト)」目的で使われることも多い。
- 家族がまとまった休みを取れる(出張・冠婚葬祭・リフレッシュにも)
- 本人にとっても気分転換になる(慣れれば)
- 急な用事のときの「保険」として持っておける
- 人気の施設は、数ヶ月先まで予約が埋まっていることも
- 本人が嫌がるケースもある(特に最初の頃)
💡 ショートステイには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類がある。前者は生活ケア中心、後者は医療ケアが必要な人向け。
複合系:通い・泊まり・訪問をまとめて
小規模多機能型居宅介護
小多機「通い」「訪問」「泊まり」を、ひとつの事業所で柔軟に組み合わせて使えるサービス。顔なじみのスタッフが対応してくれる、地域密着型。
- 1つの事業所で完結するので、スタッフが本人をよく知ってくれている
- 状態の変化に応じて、通い・泊まり・訪問を柔軟に切り替えられる
- 月額定額制なので、たくさん使う人には経済的
- 定額制なので、あまり使わない月でも料金は同じ
- 他のデイサービスや訪問介護とは併用できない(原則として一本化)
看護小規模多機能型居宅介護
看多機小規模多機能 + 訪問看護。医療ケアが必要な方が、住み慣れた地域で在宅介護を続けるためのサービス。看取りまで対応してくれることも。
- 医療と介護を一体で受けられる(喀痰吸引・経管栄養・点滴などにも対応)
- 看取り対応が可能な事業所も多い
- 状態の変化に柔軟に対応してくれる
- まだ事業所数が少なく、地域差が大きい
- 他のサービスとの併用に制限がある
知っておきたい補足ポイント
- すべて介護保険サービス。利用するには要支援・要介護認定が必要。
- 利用料は自己負担1〜3割(所得による)。表示金額は1割負担の目安。
- ケアプランへの組み込みが必須。ケアマネジャーに相談して、必要なサービスを設計してもらう。
- 食費・宿泊費・日用品代は別途。施設利用時の食費は介護保険対象外。
- 本人が嫌がる場合は、ケアマネと相談して施設を変えたり、慣らし期間(半日だけ・週1だけ)から始める手も。
我が家の体験から
母が寝たきりになる前、デイサービスとショートステイには、本当にお世話になった。
デイサービスは週に2回。
朝、送迎の車で出かけていく母を見送って、その間に私は実家を離れて自分のことができた。
夕方、にこにこ顔で帰ってくる母を見ると、「行ってくれてよかった」と心から思えた。
ショートステイは月に1〜2回。
「家族が休みたい」と頼んでも、ケアマネさんは嫌な顔ひとつせず予約を取ってくれた。
「介護は休んだ者勝ち」という言葉を、私はこの時期に何度も思い出した。
——在宅介護を続けるためには、「使えるものは全部使う」という意識が大事だ。
家族だけで頑張ろうとすると、必ずどこかで限界が来る。
そのときには、もう一歩動けなくなっている。
「ケアマネさんに頼みすぎかな」と遠慮する気持ちは、いったん横に置いて、
遠慮なく相談していい。
——彼らはそのための、プロなのだから。
このページが、これから在宅介護を始める誰かの「迷宮の地図のかけら」になりますように。