介護施設の種類を整理
〜公的と民間、それぞれの特徴〜

迷宮の地図

母を介護施設に預けて、初めて知った。
「介護施設」と一口に言っても種類がたくさんあって、それぞれ役割も費用も入所条件も違うってこと。

「特養」「老健」「サ高住」「グループホーム」……
聞いたことはあっても、ちゃんと違いを説明できる人は、案外少ないんじゃないかと思う。

私自身、母が老健に入所して初めて「老健は終の住処にはならない」と知った。
慌てて次の施設を探そうとしたら、特養は数百人待ち、介護付き有料は費用が桁違い。
——知っていれば、もっと早く動けたかもしれない。

ここでは、介護施設を「公的」と「民間」に分けて整理してみる。

大きく分けて2タイプ

介護施設は、運営主体によってざっくり2つに分けられる。

🏛 公的施設

社会福祉法人・自治体・医療法人など

費用が安いが、空きが少なく待機が長い。介護保険が直接適用される施設が中心。

🏠 民間施設

株式会社・医療法人など

費用は高めだが入りやすい。サービス内容やプランが多様で、選択肢が広い。

公的施設の4種類

特別養護老人ホーム

特養

月額 10〜15万円対象 原則 要介護3以上

終身利用できる介護施設。「終の住処」として選ぶ家族が多い、いちばん馴染みのある名前。

  • 費用が安く、長期入居しやすい
  • 最期の看取りまで対応してくれる
  • 公的施設なので倒産リスクがほぼない
  • 待機者が多い(地域によっては数百〜千人超)
  • 医療的ケアは限定的(看護師は日中のみが多い)

介護老人保健施設

老健

月額 10〜17万円対象 要介護1以上

在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。原則3ヶ月ごとに継続審査がある。

  • 医師・看護師が常駐、医療連携が手厚い
  • リハビリ専門スタッフが配置されている
  • 長期入所は基本できない
  • 終の住処にはならない(次の施設を考える必要あり)

介護医療院

月額 10〜20万円対象 要介護1以上+医療ニーズあり

長期療養が必要な方向けの医療ケア型施設。喀痰吸引や経管栄養などにも対応。

  • 医療ケアが手厚く、医療依存度が高い人でも受け入れ可
  • 長期入所が可能
  • まだ施設数が少なく、地域差が大きい

ケアハウス

軽費老人ホームC型

月額 5〜15万円対象 60歳以上、自立〜軽介護

自治体の補助があり、自立〜軽度の要介護者向けに食事や見守りを提供する施設。

  • 費用が比較的安い
  • 見守り・食事サービスがあり安心
  • 要介護度が上がると退去になることがある

民間施設の4種類

介護付き有料老人ホーム

介護付き

月額 15〜30万円+入居一時金対象 自立〜要介護

介護保険の「特定施設」指定を受けた施設。常駐スタッフが直接介護を提供する。

  • 介護スタッフが常駐、対応が手厚い
  • 医療機関と連携している施設が多い
  • 終身利用が可能
  • 入居一時金が高額(数十万〜数千万円)
  • 月額も高めで、長期化すると負担が大きい

住宅型有料老人ホーム

住宅型

月額 10〜25万円対象 自立〜要介護

介護が必要になった時は、外部の訪問介護などを別契約で利用するタイプ。

  • 初期費用を抑えやすい
  • 自分でサービスを選べる自由度
  • 介護費が別途必要で、合計すると高くなることも
  • 重度になると対応が難しくなる施設もある

サービス付き高齢者向け住宅

サ高住

月額 10〜25万円対象 自立〜軽介護

見守り・生活相談サービス付きのバリアフリー賃貸住宅。基本は賃貸契約。

  • 賃貸契約で自由度が高い
  • 安否確認・生活相談が標準でついてくる
  • 介護は外部サービスを別途契約する必要
  • 重度になると退去になるケースも

認知症対応型共同生活介護

グループホーム

月額 12〜20万円対象 要支援2以上+認知症

認知症の方が5〜9名で共同生活する小規模施設。家庭的な雰囲気を大切にする。

  • 少人数で家庭的、落ち着いた環境
  • 認知症ケアに特化したスタッフ体制
  • 医療ケアは限定的
  • 認知症の診断が前提
  • 原則として施設のある自治体に住民票が必要

知っておきたい補足ポイント

施設選びを始める前に、頭に入れておきたい現実的なポイントを並べてみる。

  • 月額は地域差が大きい。東京・大阪などの都市部は同じ種類でも高め。
  • 介護保険の自己負担は1〜3割。所得によって変わる。
  • 「終の住処」とは、最期まで看取ってくれる施設のこと。特養・介護付き有料・介護医療院などが該当。
  • 入居一時金は施設によってピンキリ。数十万円のところもあれば、数千万円のところもある。
  • どの公的施設も「満員のことが多い」。早めの情報収集と、複数の選択肢を並行で検討するのが基本。

我が家の「次の施設」探し

母は今、老健にいる。
老健は本来3ヶ月で在宅復帰を目指す施設だから、長くはいられない。

次の候補は——
本命は特養。費用が安く、看取りまで対応してくれるから。
でも特養は待機者が多いから、申し込みは早ければ早いほどいい。
しかも複数の特養に同時に申し込んでおくのが当たり前らしい。

知らないうちは、私は「申し込むのは1ヶ所だけ」だと思い込んでいた。
——介護の世界は、自分の「常識」を一つずつ書き換えていく旅でもある。

もし特養がどうしても見つからなければ、介護付き有料も視野に入る。
費用は跳ね上がるけれど、待機なしで入れることが多いし、終身利用もできる。

そして、母の体調次第では介護医療院のような医療ケア型の施設も候補になるかもしれない。

——施設の名前を覚えるだけでも一苦労なのに、それぞれの特徴を踏まえて
「我が家の場合はどれ?」を考えるのは、本当に骨が折れる。

けれど、知らないまま「ヘルパーさんに勧められたから」だけで決めてしまうと、
あとで「もっとちゃんと比較すれば良かった」と後悔することにもなる。
(実は、私はその後悔をしているところだ。)

このページが、これから施設探しを始める誰かの「迷宮の地図のかけら」になりますように。